サイトやpixivに投稿したイラストなどなど
個人的に描いたイラストや頂いたイラストなどを掲載しています。
サムネイルがないものはラフ系のイラストです。
オリジナルイラスト
※画像クリックでGalleryトップへ戻ります※
◆ヴァレンタインの日に・・・◆

「『愛する人へ想いを込めてチョコレートを贈る日』かぁ」

「何?いきなりどうしたの?」

とある休日の夕刻の時間。
俺のふとした呟きに傍らに座っているエルクがそう口を開く。

「いや、俺この王都に来るまでそういった風習とか全然知らなかったからさ。
 ヨーンに今日がそういう日なんだって言われていなかったら
 チョコレートをエルクに渡せていなかったかなぁって」

そう、先日・・っていってもつい3日位前の話だ。

     ◆ ◆ ◆

その日の放課後の時間
俺のクラスメイトであるヨーンが俺にこんな話題をふってきたのだ。

「なぁ、そういえばさぁ、そろそろヴァレンタインだけど
 お前エルクにチョコレート渡す準備済んでるのか?」

「・・・へ?ヴァラン・・?何だって???」

耳慣れない単語に俺は疑問府だらけの口調でそう返した。

「だからぁ、ヴァレンタインデー。お前たち付き合ってるんだったら
 そういう日位恋人らしくしてもいいんじゃないの?」

ヨーンは俺とエルクが付き合っている事実を知っていて
更に理解してくれている数少ない友人だ。

そんな彼の口から紡ぎ出されるよく分からない言葉の内容に
俺は更に首を傾げながら言葉を返す。

「あのさ、すまん;;
 さっきからお前が何言ってるのか全然分からないんだけど;
 えっと、何?俺とエルクに関係がある話なん??」

そんな俺の困り顔を見てヨーンは数秒程、俺の顔をじっと見やったかと思うと
途端に面白そうな玩具を見つけてきた子供のような笑顔を浮かべた。

「・・・そうかそうかw
 お前ヴァレンタインデー知らないんだな?あーなるほどなぁ・・wって、いだぁ!」

「なーんかその反応そこはかとなく腹が立つんだけど・・・w」

ヨーンの俺が困っている姿を見て面白がっている反応を見て
少なからずカチンときた俺は、笑顔を浮かべながらヨーンの頬をぐにっと掴んだ。

「いだい、いたいって!わ、分かった話すから!ひとまずその手を離してくれー!」

・・・と、その後ヨーンに聞いた話では

なるべく包装されたチョコレートを買って3日後の夕方位に手渡してみろよ
ただし、渡す時は余計な事言うなよ。まあ、いつもありがとう、くらいは言ってもいいかな?との事。

チョコレートを渡す・・?何のことやらさっぱりだったが

3日後はちょうど休日だったし
エルクもその日は別に用事はないとの事だったから
その日のお昼あたりに待ち合わせをしたんだよな。

チョコレート手渡すのが夕方あたりなんだったら
別に待ち合わせも、夕方あたりじゃなくて良かったよなと思ったわけなんだが。

そして

待ち合わせ当日、エルクと合流して街の中散歩したり喫茶店でお茶したりして
のんびりエルクとの時間を過ごしていた訳なんだけど

そのあたりで気付いたんだよな・・・

「エルク・・なんか、アベックの人たちが多くない?」

喫茶店内でお茶していた時
店内にいるアベックの数が異様に多い事に気付いた自分。
目の前で紅茶を飲んでいたエルクにひそひそ声でそう呟く自分だった。

「え?ああーそりゃそうだよ。今日ってヴァレンタインデーだしね。
 んーやっぱり男女のカップルばっかりだよねぇ」

アハハと呟くエルク。
その時になって俺はヴァレンタインという日が
恋人同士の人達にとって特別な日なんじゃないのか?という事にようやく気付いたんだ。

っていうか、ヨーンの奴がそのあたり詳しく話してくれなかったから
全く分からなかったわけだが!

その後、1人でアタフタと考えにふけっていた自分に首を傾げながらも
俺達は人通りが少ない路地のベンチに腰をかけていた。

時刻は夕方。昼間の間も晴天だったからか
煌々と輝く太陽が橙色の光を放ちながら空を夕焼けの色へと染めている。
雰囲気としては・・・悪くないと思えた。

「あのさ・・エルク」

俺はおもむろにポケットに入れていたチョコレートの入った箱を取り出し
それをそっとエルクの目の前に差し出し呟いた。

「えっと・・その、いつも・・ありがとうなって事で・・」

「へ?」

突然の俺からのプレゼントに驚いたのだろうか。
エルクは少しの間俺から手渡された箱に目を落としつつ
口元に微笑を浮かべると、もぞもぞと懐のあたりをまさぐり始めた。
そして、彼もまた箱らしきものを取り出すと

「ソラ、ありがとう。それじゃあ僕からも・・はい」

そう言いながら俺の手に箱を握らせる。
ふと香ってくる甘い香り・・これは・・

「チョコレート・・・」

「ん?そうだよw・・あ、ソラもしかしてチョコレートだめだった!?
 もしそうだったらごめん!」

「え!?いや、そうじゃなくって!えっとだな!」

俺はしどろもどろになりながらも
ヨーンから今日がヴァレンタインデーという特別な日だったという事
チョコレートを手渡してみなと、聞かされた事などをかいつまんで話し

俺はようやくヴァレンタインデーというものが
どういうものなのかをやっと理解する事が出来たのでした・・・

     ◆ ◆ ◆

「ヨーンも人が悪いよなぁ・・・
 今日がそういう日なんだって素直にそう言ってくれればいいのに」

「でも、ヨーンが言ってくれていなかったら
 今日がヴァレンタインデーだって事も知らなかったわけだから、結果的にはヨーンに感謝しないとね」

アハハと笑いながら
俺からプレゼントされた小箱を見やりつつそう呟くエルク。

「まあそれは・・そうかもな」

なんだかんだいって
ヨーンもまた俺達の仲の事を見守ってくれているんだな・・
そう考えるとあいつもまたいい友人なわけだが・・・

そして穏やかに流れる夕刻の時間の中で自然と互いに手を触れ合う自分たち。

お互いの手に日ごろからの感謝の気持ちを手にしつつ、俺達はただ無言のまま笑いあった。

こういった時間がずっと続けばいいのになぁ
なんて考えるのは贅沢だったりするのかな・・・

そんな事を考えながらも特別な日の夕刻の時間は穏やかに過ぎ去っていくのだった。

     ◆ ◆ ◆

「んー・・・思ったよりも地味だったなぁ。
 もうちょっと面白いもの見れると思ったんだけど」

俺のふとした呟きに反応するように残り3人のクラスメイト達が答える。

「渡すものをチョコレートって教えなくても良かったんじゃない?
 ソラが何選んでくるのか見たかった気がするよ」

と、猫耳亜人のゼルア。

「でもさぁ、ああいうのなんかいいなぁ。
 すっごい健全な付き合いって感じがするし。ほのぼのしてるなぁ」

そう呟くのは垂れ耳兎族のコルト。
っていうか、お前はもうちょっと色々と自重しろよ;

「・・・っていうか、何で俺がこんな事に付き合ってるんだ?
 ヨーン、これ完全にデバガメじゃねえか;」

至極まっとうな意見を口にしたのはゲン。

「んーまあ単なる暇つぶしだよwそれに・・」

『それに?』

3人の返答に俺は苦笑し、ソラとエルクをちらりと見やりながら答えた。

「たまーにこうして見守っておかないと
 あいつら恋人らしい事しないからなぁ〜全く世話がかかる2人だよ・・」

そんな事を呟きながら遠目で彼らの行く末を見守る俺達。
彼らとは別なところで俺達の時間もまた穏やかに過ぎて行くのだった。

     ◆ ◆ ◆

〜後日談〜

エルク・・・「ヨーン達この前の休日僕たちの事ずっと見ていたでしょー?
       ちゃんと気付いていたんだからね」

ヨーン・・・「え!?気付いてた!?いやーなんか面白いもの見れるかなと思って^^;」


管理人のヒトリ言
ヴァレンタインのあたりに合わせてSS書いてみました。
オチも特になくあっさり読めるにように仕上げてみましたよっと^^;